パイプオルガンは化石ではない

京都コンサートホールで年に2、3回やっている入場料1000円の(安い!)オムロン主催オルガンコンサートなんだけど、この2月公演の演奏者がナナナなんと! ロレンツォ・ギエルミ!

ということを1年ほど前に予定を知った瞬間から「絶対行く〜ッ!!」と大興奮で、チケット発売開始日にモウ早速購入してずーっと楽しみにしていたんだけど、これが思った以上に素敵な公演だった。(ほぅ❤︎)

元はパイプオルガンが好きな中でも、バッハが好きで、バッハ曲の演奏会に行っていたんだけど、数年前に聴いたギエルミさんが殊にステキだったのだ。バッハ研究で世界屈指の演奏者なんだけど、なんというかチャーミングな感じで、その時も聴いていてすごく心躍った。

今回はプログラムを見ると、前半は1曲を除いて全てバッハなんだけど、後半はトリにバッハ作として超有名なBWV565を用意している他は違う作曲家の作品。ふーん? 全曲バッハで構わないのに。

……と思った私が浅かったというか狭かったというか、いっそ失礼だった事に、バッハは勿論良かったんだけど、前半最後の曲が、パイプオルガンにはこんな音が創れたのか!? と驚かされる、うまく説明出来ないんだけど、音のボールをボワボワボワとどんどん膨らましていってスッと消すイリュージョンなオープニングだった。イメージしたのは新星が膨れ上がっていって全部が光に溶けてパアッと弾ける瞬間にふっとブラックホールに呑まれるように消えた感じ。

あとで確認したら、やっぱり現代作曲家(もう高齢だけどまだ存命)の作品で、パイプオルガンというと化石みたいに思われがちかもしれないけど、今も進化を続けているんだ! ってのがマザマザわかって鮮烈だった。

休憩を挟んで後半の曲はまたクラッシックだったんだけど、それでも色々な風味があって、中でもカッコーのトッカータが、曲の上に被さってずっと《カッコー》《カッコー》。遠く近く早くのんびり、さえずりを木霊させるのだけど、それがあたかもパイプオルガンの中に鳥たちが棲みついているかのようで、とっても可愛い曲なのだった!

勿論トリのチャラリ~チャラララ・ティ~ラ~(悲劇のテーマでお馴染み)のBWV565も、実力者の演奏だから安心して聴ける、気負ったところのない演奏だった。

はー、大満足だわ! と思っていたら、アンコール(2曲目)にイタリアの可愛らしい小品を弾いてくれたのだけど、幕切れに《カッコー》とワンフレーズをイタズラっぽく乗せてきたりなんかして♪ どこまでチャーミングな人なのーッ!!

とますますファンになってしまった。

また聴く機会があればいいな。