王位陥落

今日、今シーズンの敗退が決まってしまった。

3年前よりは辛くないかな。あの時は、まだレブロンは一度も優勝が出来ていなくて、そのことがずっと彼を傷つけていることが痛くて、もう少しで掴めるところまで来たのにそれをまた手に入れられなかったから、絶望的な気持ちになっていた。

もう永遠に王座は手に入らないんじゃないかとさえ思った。だって、そんなことは十分あり得ることだ。

今はもう2度の優勝リングを手にしていて、多分今年の事は今年の事でまた叩かれはするだろうけど、でもまた来シーズンやればいい。大丈夫、まだ次へ進めるはずだ。

とはいえ、今年の最終シリーズはまるでヒートが格下のチームかのような酷い点差で、手も足も出ないような試合が3試合も続いて、一体何をどうすれば勝利を得られたのか、まったく道筋が見えないほど完膚なき敗退だった。

スパーズを、去年は決勝でヒートが倒したけれど、更にその6年前に初めてファイナルへ駒を進めた若き日のレブロンを悪夢のようにただ空回りさせて、1勝も出来ないままに決勝の舞台から叩き出したチームである。

選手やコーチの入れ替わりの激しいNBAの中で、既に伝説になるほどコーチと主要3選手がそのまま変わっていない。だからレブロンがスパーズにメタメタにされたのはこれで実に2度目だ。

私は、レブロンが最初にスパーズに入れたら良かったのに、と思っていたくらい、スパーズのことは好きなんだけど、でもスパーズは多分指名権があってもレブロンを取らなかっただろう。スパーズには哲学がある。レブロンみたいなスーパースターは要らないのだ。

でもレブロンが良い指導者に鍛えられたら、良いチームに支えられたら、本当はもっとずっと早く王者になってもいただろう。

そんな仮定は虚しい。若いレブロンはもっと馬鹿だったかもしれないし、子どもだったかもしれないし、ポポヴィッチ監督やスパーズのシステムではやっていけなかったかもしれない。

私はややレブロンを理想視しすぎるから、レブロンには本当に優れた指導者から学ぶ力があるし、チームバスケットを大切にすることを愛していると思えるだけで、それが真実かなんてわからない。

今シーズン開始してから、さすがに3連覇するのも難しいだろうしレブロンが負けて辛くなるより先に別の選手に乗り換えようと思うんだ! と友達相手にほざいていた。

そして、乗り換えるならカウィ•レナードにするわ! と盛り上がっていた。デュラントでもポール•ジョージでもなくカウィ。

まさかそのカウィがファイナルMVPを取るなんて……皮肉すぎる。結局私はレブロンから乗り換えられなかったのに。習慣とか癖って恐ろしい。

来シーズン、レブロンはどんな選択をするんだろう。

今シーズンは失敗だった。すべてではないけれど、不安定な時が随分あって、プレーオフでもひどくちぐはぐな噛み合わないプレーをしていることがあった。結果が出た後だから何とでも言えるけれど、横溢していたものが今季はどこか損なわれていた。また山を目指さなければならなかったのだ。いずれにしても。

レブロンがヒートに残るなら、ビッグ3を継続した上で、レイ様には少なくとも来季ファイナルまでは残って貰うとして、チャルに耐えた上でもう一皮剥けて貰い、コールはそのまま伸びて、ビーズリーとオデンに成長して貰いたい。

伸びるところが見たい。チームが。