インタビュー総括

友達からNHKのスポーツニュースで、ファイナルの結果を見たよと連絡があった。

残念だったね。カリーの活躍がバンバン映っていたよ。レブロンのインタビューも少し映っていたけど最後で負けるならプレーオフ出なければ良かったという内容で、悔しさが伝わってきたよ。

……って、なんじゃそれNHK〜!(激怒)

いっそ悪意を感じるわ、そのインタビューの一部抜き取り(泣)

それじゃあレブロンが、鬼ごっこで鬼に決まった途端に「やっぱり俺、やーめたっ」って言う子みたいじゃない!?

違うもん〜!!

最後の最後、手の届きそうなところで栄光を取り零す辛さをこの5年間で3度もやっている。それは本当に心をひしがれる辛いことだよ。まるまる出なければ2ヶ月も多くオフを楽しめて、大好きな家族とラブラブ過ごせるところを、レギュラーシーズン以上に過酷な試合を余計にやって、レブロンときたらここ5年間にプレーオフに出ない選手と比べれば6シーズン分以上試合をしているのだ。(オリンピックもあったし)

これは別の質問の時だけど、今季プレーオフの成果を訊かれて、歯切れ悪く、自分にとって負ければそれはもう成功ではない、と答えていた。でも、チームをあるべき場所に戻せて良かったって続けた。優勝に手がかかる場所に、って。

そうだよ、クリーブランドレブロンがいない4年間プレーオフに進出もできなかった。キャブスファンには4年間もプレーオフ期間に何の喜びも悲しみもなかった。一方私みたいなレブロンファンは5年間も他のどのファンより長くドキドキさせて楽しませて貰ってきたのだ。優勝出来なくて悔しくて辛いのも一緒に味わってるけど、そんな気持ちにさせてくれたことさえ貴重だって思う。

プレーオフの途中で楽しみが終わってしまうのも寂しいのに、最初から出もしないなんて想像も出来ない!

さすがに今年はファイナルまでは無理だろーと覚悟していたのに、終わってみればファイナリストはキャブスをおいて他にはなかったようにさえ思える。(ゲンキン)

レブロンは決して、神様みたいに勝てたりしないけれど、ジーザスが人間の罪を背負って自らで贖うみたいに、ファンとかチームメイトの為に凡人じゃあ背負えないものを全部引き受けて、もう文句も言わないで生きている。ファイナルの第2戦の前だったと思うけど、スタメンPGのカイリーまでが今季絶望と決まった後のインタビューで、「繰り返しになるけれど、チームの皆に強く言いたい。誰がいる、いないにかかわらず、今この瞬間にいられることに興奮している」と言った。そのレブロンをすごく好きだと思った。無宗教の私が、もっとも信仰に近い気持ちになった気がする。

NHKが採用した部分は、長く苦しい2ヶ月を捧げて価値はあったかと訊かれたのを受けて、それは当然浮かぶ疑問だし、優勝を目前にして逃す痛みより、最初から出ないほうが辛さはましじゃないかと思い始めたと言ったところのことだろう。でも、続きがある。

でもなおもプレーオフに戻り、ここで闘うのはなんて楽しいんだと考え始めるだろう。1回戦、2回戦、カンファレンス決勝。またファイナルへ戻ってくる幸運に恵まれれば、それを楽しむだろう。自分はその為にすごく身を削る。それは普通なら、優勝のために払う対価だと感じるものだろう。俺は優勝したか? いいや、チャンピオンシップを逃した。だが、この復帰初年に多くの良いことを成し遂げた。願わくはこれを続けられたらいい。

この全部を伝える気がないなら、もう何も報じなきゃいい。ファイナルMVP投票では1票たりとも姿を現さなかったカリーのハイライト映像を流して、あとはそんなお父さん以上に場をドミネイトしちゃうと評判の愛娘と一緒にインタビューを受けるカリーの映像で、5分やそこらのVTRなんて埋めてしまえばいい。

試合の流れを決定づけたイグダーラのシュートも、キャブスファンには残酷なほどぽっかり空いてフリーなイグダーラが決めた3ptも黙殺するんだから、見事MVPを11票で勝ち取ったイグダーラに対してさえそんな扱いなんだから、ましてや敗北チームにいてMVP投票の残り4票を投じられたに過ぎないレブロン・ジェームスのことなんて余計にお構いなく! だ。

今となっては最終戦になってしまった第6戦の前のインタビューでレブロンは、 "I feel confident because I'm the best player in the world," って言ってみせた。つまらなさそうな顔をして、と言ってもいいような調子だった。

本人の為のセリフではなく、敵に虚勢を張る必要もなく、メディアを喜ばせる……は結果的には案の定もの凄く食いつきよくネタにされて大喜びされていたけど、でもそれはまったく本来の目的ではなく、きっとこれはファンを盛り上げチームメイトを励ます為なんだろうと感じた。

そんなに全部を引き受けなくていいのに。

ファンへ向けての今季最後のメッセージを読んだら、これがまた本当に丁度いいくらいに言って欲しいことを言ってくれていて、隙がないのだった。

やれやれ。多分来季もレブロンが好きなんだろうな。