鑑定士と顔のない依頼人

トルナトーレ監督となれば、それは見に行くよ!

しかし全体として話が好きじゃなかったので映画としては好きにはならず。映像の感じと音楽は良く、題材もまあ好きなラインだっただけに残念だ。

年輩男性が若い女の子と恋仲になるというのはファンタジーというか妄想じみて見える。醜悪にさえ感じる。

それでもハッピーエンドならいいものを、展開が読めるというか、それしかない流れの通りに進めて、心をモヤっとさせることで余韻を持たせる安易な造りになっていた。安易だよねえ?

オートマタもいまいちだったし。可視化するとあんなところかーとは思うし、主人公を打ちのめす残酷なツールとしてはあの不愉快さが適当なのかもしれないけれど、オートマタのロマンが蔑ろにされるのは許容しがたい。せっかく歯車は美しかったのに!

それにしても、最終目的が金銭的なものであればあそこでオートマタを残していく必要はない。明確に悪意や意趣返しならばわかるけれど、そこまで人を憎めるだろうか? そばにいて長くつき合って親愛を擬装していて、憎しみを持続できるだろうか。

難しく感じるのが素人で、本当に憎んでいれば(?)きっちり憎み続けられるのか、あるいは憎んでまでいなくてもあれくらいの置き土産は悪戯としてできるものなのか。

廃人と化した主人公を思うと随分な悪意に感じられた行為の数々も、それぞれジョークのつもり(最後だけに手の込んだ)と言われればそうなのかもしれない。

やっばり、もうひとひねり欲しかったな。