必殺技はカニばさみ

第5戦の裏番長[emoji:B60]はなんと言ってもマシュー・デラヴェトヴァではないかと。

シーズン当初、「彼に一番欠けているのはシュート力」なんて言われる一方で、解説者によっては「3ptがあって得点力があります」とも言われ、一体どっちなんだ!? と苦笑いしつつ見守っていた。

確かにペイントに切れ込んでのシュートの決定力はカイリーと較べるべくもなく、ミドルもほぼ打たないところを見るとさして上手くはないのかもしれず、3ptは水モノなので外れる時はちっとも入らない。あと、せっかく入っても、マシューのシュートフォームってちょっと変なのだ。仮に理想のシュートフォームをカーメロ・アンソニーのものとすると、マシューのはちょっとヒキガエルっぽい。総じて、確かに得点力は残念め?

と思っていたら、豈図らんや、そんなマシューの得点力はこのプレーオフにきてさりげに上がっている気がする! いいところで3ptを決めているし、ゴール下のシュートも結構決めているのだ。なんだ? 地味に大舞台に強い系なのか? それともまだまだ成長期なのか!

そりゃあオーストラリアの代表選手だし、可愛い子ギツネのような風貌に騙されているだけで実は相当タフなのかもしれない。

さて、それはさておき第5戦のマシュー・ハイライト。

まず、トリスタンとの合わせのプレイがすごく息が合っていていいのだ。これはマシューからのパスでトリスタンがアリウープを決めるセットプレイなのだが、シーズン中からこれは本当に綺麗に決まるわ〜と思っていたけど、今回もバシッと決まり、アリウープだけに華やかで会場も大いに盛り上がった。

そして今回特筆すべきは、タージ・ギブソンを一発退場に追い込んだプレイ(?)。もつれて転んだ後、先に立ち上がったギブソンがマシューを蹴って退場になったシーンのことだが、転がったままのマシューは両脚の間にあったギブソンの片足をすかさずカニばさみ。一瞬ギブソンの足と一緒に軽く半身が持ち上がっていたから、ギブソンからすれば相当鬱陶しい絡みだったに違いない。イラッときて足で振り払う=蹴るになってしまって退場になったギブソン。いかにも嵌められた感がある。マシュー! ナイスな腹黒プレイよ!!

しかしこの後、ギブソン不在は響くだろうと北叟笑んでいたのに、4Q序盤に一時は17点リードまで開いたにもかかわらず、残り1:18までの間に2点差にまで縮められてしまった。く、くぅ……さすがブルズ。

直後のキャブスのゴールは外れ、次を決めれば同点という好機にローズが電光石火のごとく自陣へボールを運んだ。そのままの流れでジャンプシュート! を、レブロンが美しいブロックで叩き落とした!!! きゃーーーーッ!

しかし、あれはいち早くゴール前に立ちはだかり完璧に真っ直ぐ両手を上げて進路を塞いだマシューの隠れた好プレーがあってこそのブロック成功だったのである! このまま突っ込むとオフェンスファールを取られる、とローズはあの1秒にも満たない瞬間に感じたに違いない。そこでいったんマシューに身体をぶつけ、1歩下がってジャンプシュートを放った。この一瞬の遅延のお陰で、背後から鬼神の如く追いすがったレブロンが間に合うことができたわけだ。

しかし、ゲームクロックはまだ残り1分弱。差をひろげたいキャブスだが、レブロンのシュートは外れた。ここが勝利の行方を分けるリバウンドだ!

ボールをノアが弾いたもののブルズの選手がそれを捕らえ損ねて、キャブス選手の腕に転がりこんできた。やったー!

しかし、あくまでタラレバだけど、ここにもしタージ・ギブソンがいたら、リバウンドを奪われた可能性は非常に高い。あの人、でかいのもあるけどボックスアウト上手すぎだもの。

そんなわけで、ここで値千金になったよ、マシューの必殺カニばさみ!!

なお、試合終了後の翌日のビデオ判定でマシューのこのプレイ(?)はテクニカルファールを取られ、罰金を科されたとのこと(笑)